平成三十年
2010-07-14 23:29 JST @sadayuki Tweet

図書館で借りて読んだ。借りたのは単行本だが、上記リンクは文庫版。まあ、文庫の方がコンパクトで良いよね。
「本書は、1997 年 6 月 1 日から 1998 年 7 月 26 日にかけて朝日新聞朝刊に連載されたものを、単行本化にあたり大幅に加筆・修正いたしました。」とのこと。うちの新聞は今も朝日新聞だが、当時も朝日新聞を購読しており、本作の連載も読んでいた。当時から見れば、20 年先を予測した本作も、10 年経って予測が当たったり外れたりだ。まず違うのが消費税率。本作の中の平成三十年は、消費税率が順調に上がって 20 %になる。これから上がるのかも知れないが、現実には 20 %はないだろう。
また、為替レートが違う。これは正反対だ。本作の中では円安の方向にかなり進んでいるが、現実は円高の方向だ。まあ、十年前は円安の方向だと思っていたのだから仕方ないかも。また、このままの財政状況が続けば、あと 10 年もすると円安なのかも。
あと面白いのが電気自動車の普及。これは平成三十年までには普及する可能性があるので当たっているとも当たっていないとも言えない気がする。でも当たりそう。
これは無いだろうと思うのが「パソエン」。「パーソナル・エンターテイメント」の略。技術的には現在も可能なのだと思う。カラオケのように、まあ、寸劇を楽しむといえば良いのか。カラオケのように演目があって、体につけたセンサーで体の動きを読み取り、大画面に合成して出力する。作者の 堺屋太一 や、演劇部だった私の妻のような人であれば楽しめるかもしれないが、カラオケも難しい私の手には負えない。
興味深いのが「団塊の世代」がやはりキーポイントになっているところ。主人公が団塊ジュニアで、当然、親が団塊の世代。主人公が 40 代半ばで、親はリタイアしている。急激な少子高齢化に伴なう労働人口の減少が、景気を悪化させているという描写は、既に現実のものとなっている。昔から分かっていたことなのに、何も対策を打たずに現在に至っている。副題が「何もしなかった日本」というのが皮肉である。
あと面白いのが登場人物の名前かな。主人公が木下和夫。産業情報省の課長。で、産業情報大臣が織田信介。柴田克也通商局長、前田利男政策課長、明智三郎通商局次長といった感じでどこかで聞いたような名前の人物が大勢さん出てくる。
まあ、こんな名前だと推して知るべしで、最後に明智三郎危機管理監の裏切りで織田総理の乗った飛行機が消息を絶つ。まあ、バッドエンドかな。木下官房副長官が天下を取るのは難しそうだから。